MudPITについて詳しく知る

タンパク質複合体やプロテオームの同定を実現するMudPIT

数十~数百種類のタンパク質が含まれる、タンパク質複合体やwhole cell lysateからのプロテオーム解析には、二次元ゲル電気泳動がよく使われているだろう。しかし極端な等電点や分子量を持つタンパク質は検出しにくく、また泳動後に質量分析を行うためにはひとつひとつスポットを切り出す必要があるなどの問題点がある。MudPIT(Multi-dimensional Protein Identification Technology)はゲルを用いず、二次元のクロマトグラフィーとMS/MS解析によって多数のタンパク質を効率よく解析する技術だ(図1)。

MudPITの概念

図1 MudPITの概念図。
解析対象のタンパク質混合物(複合体や細胞全体)は還元、プロテアーゼ消化された後、強カチオン交換樹脂(SCX)と逆相樹脂(RP)を充填したカラムによって分離される。このカラムに質量分析用の電圧装置(kV)が直結しており、分離ペプチドは質量分析装置中に直接溶出され、解析される。

 

 


MudPITデータ例

図2 MudPITにより検出されたタンパク質データの例。
酵母のタンパク質の中で、X軸のそれぞれにカテゴライズされるタンパク質が、どの程度の割合でMudPITにより検出されたかを示す。Yeast Proteome Databaseの情報から各カテゴリに属すると予測されるタンパク質数をそれぞれの100%としている。例えば分子量180kDa以上のタンパク質は、全体の約30%がMudPITにより検出可能だったことを意味する。
Yates et al. (2001) より改変。

 

 

MudPITでは、一次元目に強カチオン交換(strong cation exchange;SCX)カラム、二次元目に逆相カラムを用いて、ペプチドを電位や疎水性といった物理的性質を利用して分離する。解析の際は、まずはタンパク質サンプルを変性させ、シスチンを還元、システインのアルキル化処理を行い、トリプシンなどのプロテアーゼで消化する。その後ペプチドを酸性化し、SCXカラムに通す。次にSCXカラムに吸着したペプチドを、塩濃度をステップワイズに変更しながら溶出させ、逆相カラムに移す。そこで余分な塩やバッファーを洗浄し、アセトニトリルで溶出してMS/MSにかけるのである。

この2段階のクロマトグラフィーにより、二次元ゲル電気泳動と比較して精度よく、様々なタンパク質を解析することが可能だ。2001年にこの方法を発表したYatesらの論文では、酵母(Saccharomyces cerevisiae strain BJ5460)から1484個のタンパク質を検出・同定した※1。その中には転写因子やキナーゼなど存在量が少ないものや、10kDa以下、180kDa以上のタンパク質、極端な等電点を持つものなども見つかっている(図2)。また、同じくYatesらが1999年に発表した、MudPITの原形となるクロマトグラフィー技術を紹介した論文では、酵母リボソームの40Sサブユニットを解析し、逆相カラムのみを用いる一次元の解析(1D-LC)で115個、二次元の解析(2D-LC)で219個のペプチドを検出した※2

2D-PAGEの後に質量分析を行う場合、100個以上ものスポットを解析しようとしたら数百万円ものコストと膨大な時間がかかることは容易に予想できる。MudPITを利用することで、時間とコストを圧縮し、さらに高精度のプロテオーム解析を行うことができるのだ。

 

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※1 Washburn M. P., Wolters D., Yates III J. R., Nature Biotechnology, 19: 242-247(2001).
※2 Link A. J. et al. Nature Biotechnology, 17: 676-682(1999).

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