08/02: 沖縄ならではの バイオインフォマティクス人材育成 講座・リポート
沖縄ならではの
バイオインフォマティクス人材育成
講座・リポート<前篇>
財団法人沖縄科学技術振興センター主催の「バイオインフォマティクス人材育成講座(平成22 年度沖縄県産業振興基金人材育成事業「バイオインフォマティクス人材育成推進事業」)」が、琉球大学、沖縄工業高等専門学校の後援をうけて、7月10日(土)開講した。8台3 種類の次世代シーケンサーが集積し、膨大な生物学的情報の蓄積が進む沖縄において、それらを科学技術、産業振興に利活用する人材が求められている。県内外8つの機関から集まった10名の錚々たる講師陣により展開される本講座の前半を振り返ってみたい。
いざ、開講!
開講前に開催された2つのイベント(2月20日・プレ講座受講者:78名、5月15日・フォーラム参加者:123名)、バイオインフォマティクスの認知度が決して高くはない沖縄において、この盛況ぶりは驚きであった。開講前から高い期待の中にあった本講座は、7月10日、国立遺伝学研究所教授・大久保公策氏の「バイオインフォマティクス総論」を皮切りに開講した。情報の共有化がもたらす科学の進歩や社会貢献と今後のバイオインフォマティクスについて、独特の口調で展開される講義は受講生をしっかりと惹きつけていた。さらにバイオインフォマティクス関連ビジネスを展開する株式会社セルイノベーターの荒木啓充研究開発部長と土井淳主任研究員による具体的なサービスの事例紹介を交えた講義は、業界の現状とともに仕事のイメージを受講生に伝えた。これら2つの総論から、バイオインフォマティクス分野の今後の可能性と仕事のイメージを学んだ受講生は、一朝一夕に習得できる分野ではない難しさを感じつつも、本講座を受講するモティベーションをさらに高めていた。
生命科学一般・基礎と応用
広範な生命科学の中で特に重要と思われる基礎の講義を、琉球大学准教授・要匡氏が担当した。この先、より専門的な講義・実習が組まれている講座にあって、細胞やDNA、RNA、タンパク質、セントラルドグマ、遺伝子、ゲノム、遺伝子疾患といった内容を理解せずに進むことはできない。わずか2コマ(90分×2)に濃縮された講義に、講師も受講生も集中していた。
沖縄科学技術研究基盤整備機構(以下、OIST)のユニット代表研究者、佐藤矩行博士、丸山一郎博士が担当した生命科学応用では、サンゴやホヤの分子系統学研究、線虫を用いた記憶の研究など最先端の研究とバイオインフォマティクスの関連がわかり易く伝えられた。受講生の理解に合わせて講義に織り交ぜられたキーワード解説は、研究のイメージとともに受講生の記憶の中に強く残ったに違いない。
分子生物実験技術実習・生物が
もつ情報がデジタル化されるまで
生物から情報を引き出す、引き出された情報を正しく理解する、そのためには分子生物実験技術の理解・習得は不可欠である。座学で生命科学の関連分野を学んだ受講生は、培養した動物細胞からのRNA抽出、特定遺伝子の増幅、増幅した特定遺伝子の塩基配列データ取得まで、一連の実験技術を理解・習得するべく、沖縄工業高等専門学校教授・池松真也氏の分子生物実験技術実習に臨んだ。池松氏の教え子の高専生たちのサポートも加
わり、きめ細やかな技術指導が盛り込まれた実習は、初めて実験機器に触れる初心者にもわかり易いものとなった。実習でターゲットとしたミッドカイン遺伝子の配列データは、続く情報科学一般実習へと引き継がれる。
オプション見学ツアー・県民に公
開された次世代シーケンサー
沖縄県うるま市にある沖縄健康バイオテクノロジー研究開発センター、ここに次世代シーケンサー3機種8台が集結する。今回の見学ツアーでは、OISTの全面的な協力のもと、Solexa(イルミナ)と454(ロシュ・ダイアグノスティックス)という2機種5台の実機見学と、これら次世代シーケンサーを活用した研究紹介という大変贅沢な見学ツアーが実施された。日々シーケンサーを活用するOISTの研究者から、サンプル調製、シーケンシング、PCクラスターについてラボで直接解説を受けた受講生は、予定した時間を大幅に過ぎてなお質問をやめることはなかった。次世代シーケンサーを活用した沖縄ならではのバイオインフォマティクス分野の可能性や仕事のイメージがより具体的になったに違いない。
バイオインフォマティクス人材育成講座は現在折り返し地点。続く、情報科学一般、バイオインフォマティクス基礎・応用は、PCを使った実習が中心となる。次世代シーケンサーなど最先端機器によって取得されるデータがいかに膨大かを知った受講生は、生物学的情報の高度な処理技術が不可欠であることを強く認識し講座後半に臨む。









